未成年の子が「詐術を用いたとき」の判断要素は?

1.2019年10月に私が投稿した「未成年の子による高額消費について」というコラムに対して,この間,多くのアクセス,お問い合わせ等の反響をいただきました。コラムに書きましたように,「未成年の子どもが親のクレジットカードを利用するなどしてオンラインゲームで高額な課金をしてしまうトラブル」が後を絶たない状況が続いているということかと思われます。

この点,国民生活センターのホームページを見ても,今年度(2019年度)に国民生活センターに寄せられている「オンラインゲーム」に関する相談は,2019年12月31日現在で3629件(前年同期3225件)であり(※1),約400件増加した昨年度に続き,今年度も増加傾向にあることが分かります。

2.もっとも,どのような場合に取消が認められるのか(未成年の子が「詐術を用いたとき」にあたるか,すなわち取り消すことができないかどうかについて)については,具体的で明確な基準はありません。残念ながら,本記事の投稿日現在、裁判例の集積が進んでいるとも言えない状況です。

前回の記事でも触れた「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(※2)でも,以下のような個別具体的な事情を総合考慮した上で実質的な観点から判断するとされています。

○未成年者の年齢

○商品・役務が未成年者が取引に入ることが想定されるような性質のものか否か(未成年者を対象にしていたり訴求力があるものか 、特に未成年者を取引に誘引するような勧誘・広告がなされているか等も含む)

○取引をした価格の多寡

○上記の事情に対応して事業者が設定する未成年者か否かの確認のための画面上の表示が未成年者に対する警告の意味を認識させるに足りる内容の表示であるか

○未成年者が不実の入力により取引することを困難にする年齢確認や同意確認の仕組みとなっているか

3.今回私が特に取り上げたいのは,上記の内,未成年者を対象にしていたり訴求力があるものか ,特に未成年者を取引に誘引するような勧誘・広告がなされているかという点です。

そもそも対象年齢が低いゲームの場合等は,事業者側にもそれだけ慎重な表示が求められることになりますので,年齢確認の手順が一応設けてあったとしても,未成年者に警告の意味内容が十分理解しやすいように配慮がされていなければ取消が認められるケースも考えられるということになります。

 

【確認するポイント】

□ 未成年者を対象にするゲームである

□ 特に未成年者の間で流行しているゲームである

□ 特に未成年者を勧誘するような広告,表示がされている

→該当する場合には,取消しができる可能性が高まる

 

4 お悩みの方については,具体的なご事情を伺った上でご助言,ご回答をいたしますので,お気軽にご相談ください。

文責:弁護士伊藤正篤

※1 独立行政法人国民生活センターウェブサイト

http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/game.html

※2 経済産業省ウェブサイト

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/index.html

関連条文:

民法第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

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